「不眠君(こんな風に呼ばれているわけではない)さぁ、レンタルビデオのバイトしてるんだって?」
「ええ。してますよ」
「接客でしょ? なんか面白いことなかった?」
「特にないですねぇ。そんな、客を観察する店員ってなんか嫌じゃないですか」
「そりゃそうだ」
「ただ、元旦のバイトばっかりは楽しみですけどね」
「元旦からバイトかよ」
「元旦からアダルト借りるお客さんはどんなのだろうってね」
「それは面白いかもね」
「クリスマスのバイトを逃したのは手痛かったです」
「クリスマスに一人右手が恋人って?」
「いや。『お、おっさん。クリスマスに近親相姦っすか? あ?』って思う」
「嫌な店員だなぁ」
「そういう日だけはね」