ちとマジになってみる

 バイト中ふとチャット仲間を思い出す。
 そういえば3年前は自分も大学生だったんだよな……あの時、自分はエネルギッシュで、ホントいろんな人とであって、いろんな人からいろんな話を聞いたもんだ。
 中学卒業と同時に工場に入って、そこで働きつづけてる50くらいのおっさんとか、地方の区議会議員とか、見合い結婚してずっと主婦してる人とか。なんか、えらく感傷的になって変な話ばっかしてた。
 ライターになってからは結構業務系の人から話を聞く機会が増えた。シェフとか作家とか、そういう人たちとは取材って方面で、普通とはちょっと違った話をしてたっけ。
 けど、そんな人達からは感じられなかった、とても強いまっすぐな、直線的な思いってのをすっかり忘れていたんじゃないだろうか。なんというか、ちょっとあてられたらしい。自分の中からすっかり抜けきってたものがひょいと戻ってきたような、変な気分だ。
 しばらく感じる事のなかったこれは、とても大事な過去の遺産・自分の記憶・過去に失う事の無いと思っていた情熱なんじゃなかろうか。
 別に今の自分はプロじゃねぇんだ。あれやこれやと考える事はねぇ。人からどうと言われようが知ったことじゃない。痛かろうがバカだろうが、別に金とってねーんだから何しようが関係ない。
 ああ、すごい単純な事をすっかり忘れてたらしい。こんな風に自分で出した答えに衝撃を受けたのは、友人の『あれファンタジー小説だろ?』の一言を聞いて感じた、【小説は仮想物語なんだから何やったっていいんだ、現実に縛られる必要はないんだ!】 ってのを感じたとき以来だ。
 自らの汚点を認めつつ、仮想空間である世界を再認識し、歩み始めた溝に沈みながらもただただ前へ。情熱だけを信じ、自分だけを信じ進んでみることを、忘れていた自分に反省。